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武相荘と柳澤荘 APR.2024

近いけれどなかなか行く機会が無い穴場は数多く有りますが、戦後日本の復興を担った偉人のお二人のお住まいをお邪魔しました。


武相荘は白洲次郎・正子ご夫妻の旧宅ですが、太平洋戦争前夜の昭和十五年(1940)に現在の町田市能ヶ谷で農家を購入し、亡くなられるまで居住されました。









武蔵と相模の国境に在る事から名付けられた旧邸は、記念館・資料館として一般公開されており今や住宅地に囲まれてるものの数々の遺品と共に散策できる庭やレストランも並置されており、国家の行く末を憂いながらもカントリーマンとして野に下った心境を偲ぶ事ができます。






白洲次郎の本は昨今巷に溢れておりますが、マッカーサーやGHQと得意のBRITISH ENGLISHを駆使して対峙した武勇伝やサンフランシスコ講和条約における立ち回りから、敗戦から日本を早期復興に導いていく上で立役者の一人であった事は間違いありません。置かれていた資料の中で、大きな巻物状の吉田茂の日本語で書かれた演説原稿(トイレットペーパー)が置かれておりましたが、我国の国家主権の復活と戦争状態の終了を宣言した重要な国際条約は英・仏・西語と共に日本語で条約謄本が書かれました。一方、露・中共とは平和条約は結ばれておらず、今日に至る宿痾の一つとなってます。


私はどちらかというと、70歳を超えてもポルシェ911のマニュアル車を駆って軽井沢に通う話しや、日曜日はメンバーのみプレイが許される軽井沢ゴルフクラブの理事長として時の首相である田中角栄や中曽根康弘ですら断った、硬骨漢的な話が好きです。Principleという言葉を重んじていた様ですが、日本語で言うと道理とか節といった言葉にあたるでしょうか。変化早く・不透明な時代だからこそ、principleを持たないとleadershipを執る事は難しいという事を教えてくれます。














黄林閣(柳澤荘)は松永安左エ門が昭和5年(1930)に譲り受けた名主の住宅を当地(現所沢市坂之下)に移築し営んだ別荘でした。彼は戦前の電力事業の大御所であり、最大手東邦電力を主宰し民間主導による電力会社再編を主張していましたが、戦時下で電力事業は国家統制下に置かれる事となり、日本発送電会社が設立され引退する事となりました。白洲同様、戦時下に於いては郊外に籠り雌伏していた事になります。松永は吉田茂により抜擢され、電気事業再編を任せられる事になります。


東北の震災後再生エネルギーの導入や電力事業の再編が叫ばれ、今尚試行錯誤と是非論は喧しいです。当時戦後復興を目指す上で、電力供給体制の整備は最優先課題であり、それ無しで日本の復興は有り得ませんでした。水力は一定量生き残っていたにせよ発電容量には限界がある中、爆撃で壊滅していた火力発電所を含める発送配電インフラの整備には巨額な資金とそれを調達する信用が不可欠でありましたが、一方でGHQは占領政策の一環で発送電会社の民営化を要求していました。松永が最終的にリードした九電力体制+分割民営化はそうした中で選ばれた現実的な選択肢であったと思いますし、その後発電インフラを補完する意味で作られた電源開発(現在Jパワー)を含めて戦後復興をリードしました。


電力事業は今後も引き続き産業振興や生活基盤を担うものになりますが、電気の性質から負荷調整が難しい再生エネルギー(風力・太陽光)だけに依存する事は難しく、火力発電は一定規模で必要となります。つまり、雲がかかり太陽を遮ったり、風が止まった時に備えて、常に負荷変動が容易なバックアップ電源を稼働しておく必要があり、再生エネルギーはけしてゼロエミッションではないという事実があります。又、水の電気分解は極めて効率の悪い化学反応であり、水素は輸送・貯蔵も難しい事から規模感のある導入は極めて難しいです。私のサラリーマン生活は火力発電向け石油供給の仕事から始まりましたが、近年は脱炭素燃料の開発にも携わってきました。残念ながら、日本は高額な炭化水素を消費し、更に高額なものとなりかねない脱炭素エネルギーの導入を検討していながら、科学及び経済性を根拠とした議論は成熟しておらず国民レベルの理解も進んでいません。

白洲次郎と松永安左エ門が準備した電力事業(二次エネルギー)の財産は今尚隆々としているものの、残念ながら一次エネルギーの確保・調達については我が国は未だ脆弱な状況です。国内のガソリン価格や電気料金、為替の問題になると急に世間は喧しくなりますが、根本的にそうした天然資源(或いは将来の脱炭素燃料)へのアクセスが何故日本国として弱いのか、その点を突き詰めていかないといくら国内で人工的な競争状態を作り出したり、対処療法の様な補助金を出しても根本的な解決にはならないでしょう。

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